盗難被害に遭った佐賀県独自の石仏「肥前狛犬（こまいぬ）」が米ニューヨークのギャラリーで見つかり、佐賀署に返還されたことが２７日、分かった。
別の石仏盗難事件の捜査で署員が所有者を突き止めた。
被害を届け出ていた「肥前狛犬を学ぶ会」の永渕秀治さん（６８）は「まさか海を渡っていたとは。戻ってきて良かった」と喜んだ。

　肥前狛犬は、戦国期から江戸前期にかけて佐賀県小城市牛津町砥川地区の石工集団によって造られ、北部九州の寺社や祠（ほこら）に奉納された。
小型で簡素な顔立ちに人気があり、古美術店やインターネット上では１体数万～数十万円で売られていることがあるという。

　佐賀市内の寺院から石仏２体を盗んだ疑いで４月２８日に逮捕された同市内の古美術店手伝いの男（７４）が、「肥前狛犬も盗んで転売した」と供述。
小城市の空き地に置かれていたもので、転売先をたどるとニューヨークのギャラリーで１８００ドル（約１８万円）で販売されていることが判明。
署員が電話で返還を求めると、所有者は盗難品だとは知らず、返還を了承した。

　返還された狛犬は佐賀県多久市多久町の市郷土資料館で保管するという。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/254754